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雲の果て

jyuzakumo.exblog.jp

個人的に興味があるゲームの紹介やプレイ感想など。あと落書き。@ジュザ

私の兄がこんなにヘタレなわけが無い

これはとある兄妹にまつわる妄想話である。

絵だけじゃなくて読み物もぼちぼち妄想してみました。
まあよくある妄想SS(ショートストーリー)ですので、本編との絡みはありません。
多分分かると思いますが、一応ルミア視点の話です。
気が向いたら更新します。
同時に挿絵も描けたらいいのですが、そこまで出来るかどうかはわかりません。






私の名前は、ルミア・ウェーバー。
昔色々あって、今は惑星警護組織ガーディアンズの一員として
日夜グラールの平和保全の為に尽力してる。
昔と言っても、ほんの2,3年前の話だけどね。

そうそう、言い忘れてたけど
私にはひとり兄が居る。名前はイーサン・ウェーバー。
世間ではグラールを救った英雄だなんて呼ばれているけど、
私から見たら全然大した事のない・・・むしろ情けない兄だといえるわ。

昔はよく私の危機には必ず駆けつけてくれて、
私を護ってくれたり、実際SEEDの大勢に立ち向かって行ったり、
頼りになるカッコイイお兄ちゃんだった。
でも最近はそんなこと無い。
毎日のように飲み屋に入り浸ったり、ガーディアンズの仕事をサボることも
あるようなの。
周りが、英雄だのって甘やかすからきっと調子にのっているんだわ。

私は兄を軽蔑していた。
・・・と同時にこのままでは兄はダメになってしまうかもしれない、と心のどこかで
心配していたのかもしれない。
まさか、あんな事件が起ころうとは・・・。



時は3日前に遡る。
私はガーディアンズの任務を終え、その日は帰路につこうとしていた。
「オーイ」
後ろから不意に声を掛けられる。なんども聞き慣れたこの声。
「兄さん、今日の任務は終わったの?」
目の前に立つ兄、イーサン・ウェーバーは
良く見るとダラけた顔をしている。数年前はもっとしゃきっとしていたのに・・・。
「ああ、今日は終わりだよ。今からレオたちと飲みに行くんだ」
「はぁ、また?昨日も行ったんでしょ?」
兄は頭をかきながら
「昨日はアレだよ、リトルウィングとの振興会でクラウチさんたちから誘いがあったんだよ・・・。」

私は頭にきていた。
「もういい加減にしないと、任務に差し支えるわよ!昨日も任務に遅刻してきて
クライアントから苦情が来たって、受付から聞いてるんですからね!」
兄は顔をしかめて愚痴をもらす。
「うるせぇなあ・・・良いじゃんか別に!お前には関係ないだろ!」
・・・っ!
「関係ないって何よ!私は兄さんの為に言ってるんじゃない!」
「あーそうですかぁ。優秀なルミア様には不似合いな兄貴で悪かったな。
なんだよ、昔はなんなにお兄ちゃ~ん、だなんて言って付いてきたくせによ。」

私は完全に頭に血が上っていた。
顔面が熱くなり、怒りやら恥ずかしさやらでもう訳が分からない。
なぜこんなことを言われなきゃいけないのっ!?もう最低ッ!
「バカっ!カレンさんにも言いつけてやるんだから!」
私はカレンさんの名前を出す事で兄は冷静さを取り戻すととっさに口から
そんなセリフが出ていた。
だけど、逆に状況は悪化していったのだった・・・。

「カレンは関係ねーだろ!むしろお前なんかより俺の事をずっと良く
理解してくれてるぜっ!」
「恋人のひとりも居ないお前にはわかんねーだろうけどなっ!」
っ!!
バシッ!
言葉よりも先に手が出ていた。
私は涙目になりながら、兄の頬を思いっきりひっぱたいてやった。
「痛てッ!なにすんだこの・・・」
「お前なんか私の兄じゃないッ!どこにでも行ってしまえばいいわよッ!」
そう叫ぶと私は振り向き、一目散に本部のドアをくぐった。
後ろで兄が何か叫んでいるが私にはもう何も聞こえない。


私はガーディアンズコロニーのマイルームエリアまで来ると
自室のドアを開けようとキーを通す。
でも、まだ手が震えてカードが上手く通らない。
・・・なんで、・・・なんで・・・
やっとロックが解除され、ルームに入ると
靴や荷物をその辺にぶちまけて、私はベッドに倒れこむ。
「グスっ・・・!」
言葉は出なかった。
私が何をしたのか、兄は私に何をしたのか、今日起こった事を全部忘れたかった。

些細な兄妹ゲンカは昔からしょっちゅうやっていた。
でも、今回は違う。
歳を重ねるごとに、兄離れを意識していたはずの私は
兄の何気ない一言に心を砕かれたかのようだった。
あいつが・・・あいつが悪い!あんなヤツ消えてしまえばいい・・・
そう心の中で繰り返すと、やがて私はいつの間にか眠りについていた。

つづく
by jyuza-rokusei | 2011-01-15 21:59 | UNKNOUN

by jyuza-rokusei